今回はメルカリNOW(メルカリナウ)がサービス終了したのはなぜなのかを徹底調査します。
また、そもそもメルカリNOWとはどういうサービスだったのかも解説します。
メルカリNOW(メルカリナウ)がサービス終了したのはなぜ?
メルカリNOWは2017年11月にリリースされ、2018年8月にサービスを終了しました。
メルカリNOWは「ノールック買取アプリ」として注目が集まるなかスタートし、サービス開始当初は利用者が殺到したと言われています。
メルカリ運営は、サービススタートから1週間のうち初日以外は、開始から10分足らずで設定していた買い取り上限額に達したと発表しました。
それだけ当初人気だったメルカリNOWが、なぜ8カ月ほどでサービスを終了したのでしょうか。
サービス終了に関するメルカリ運営の公式発表
メルカリ運営はメルカリNOWのサービス終了について、以下の通り発表しています。
一部サービスの提供終了について
株式会社メルカリのグループ会社である株式会社ソウゾウは、下記のサービスにつきまして、近く提供を終了させていただくこととなりましたのでお知らせいたします。
メルカリNOW(サービス終了日:8/20)
teacha(サービス終了日:8/21)
メルカリ メゾンズ(サービス終了日:8/31)
これまで各サービスをご利用いただいておりましたお客さまには誠に申し訳ございませんが、何卒ご了承いただきますよう、お願い申し上げます。提供終了までのスケジュールや詳細につきましては、各サービスのWebサイトをご確認ください。
今回、メルカリグループとして、これらのサービスを終了するとともに一部の機能を「メルカリ」のサービスに追加していくなどの経営資源の再配置を行い、「メルカリ」をはじめとする運営サービスのさらなる品質向上を目指します。また、ソウゾウでは今後も、フリマアプリ「メルカリ」を超える新規事業の創出に向けて、大胆に挑戦してまいります。
この公式発表を要約すると「経営資源の再配置」となります。
そのためメルカリNOW、teacha、メルカリメゾンズの3サービスがほぼ同時期に終了しました。
また、メルカリ広報は「メルカリグループ全体で、よりインパクトのある大きな事業に集中していくため、サービスに関わる人員を、既存のメルカリや(金融の新規事業をする)メルペイなどに当てていきたい」とも説明しています。
メルカリ側からはこれ以上の公式情報は出ていません。
【考察1】社長をはじめ経営陣を刷新。トップが変わり目指す方向が変わった?
ここからはメルカリNOWのサービス終了についての考察です。
2018年4月、メルカリNOWの運営会社である株式会社ソウゾウ(メルカリの100%子会社)の社長が交代しました。
新しい代表取締役社長には、新規事業の経験が豊富な原田大作氏が就任しています。
【参考記事】
株式会社ソウゾウ 代表交代のお知らせ
原田氏が社長に就任後の2018年7月に、メルカリNOW、teacha、メルカリメゾンズという3サービスの終了を発表しました。
先に紹介したメルカリ運営の公式発表においては、「ソウゾウでは今後も、フリマアプリ『メルカリ』を超える新規事業の創出に向けて、大胆に挑戦してまいります」と宣言しています。
メルカリNOWはメルカリから独立したサービスではなく、あくまでメルカリの姉妹アプリでした。
原田氏が求める「メルカリを超える事業」を展開するには、メルカリの既存ユーザーに頼る姉妹アプリではなく、新規に事業展開していく必要があると考えたのではないでしょうか。
【考察2】メルカリNOWはメルカリほどインパクトがなかった?
個人的にメルカリの出現は衝撃的でした。
それまで個人が不用品を売るには、ヤフオクなどのオークションが一般的でした。
しかしながら、オークションの出品には以下のような使いづらい点がありました。
・落札や出品の作業がシステム上面倒。
・取引相手へ名前や住所などの個人情報を知られてしまう。
・取引相手によって送料が異なるため送料計算が複雑。
・購入者からきちんと入金があるかが心配。
メルカリの出現によってこれらのデメリットが解消されました。
メルカリ運営が購入者と出品者の間に立ち、スマホ一台で出品から発送まで完結できるということで、購入・出品の手間も驚くほど短縮。匿名での取引なども可能。
その使いやすさから、メルカリが日本中に利用者が広がったのは納得できます。
一方のメルカリNOWも、サービス開始当初はユーザーが殺到しましたが、その後の詳細は不明です。
また、メルカリNOWより先にCASH(キャッシュ)という似たサービスがリリースされており、SNS上などではメルカリNOWはその二番煎じと言われることもありました。
メルカリ広報が、メルカリNOWなど3サービスの終了理由として「よりインパクトのある大きな事業に集中していく」とも説明していることから、運営側が想定していたほどのインパクトを残せているわけではなかったのかもしれません。
【考察3】査定技術に限界があった?
後ほど詳しく説明しますが、メルカリNOWは「即時買取サービス」です。
お金に変えたい商品をスマホで撮影するだけで、機械判定ですぐに査定金額が提示されました。
しかし、メルカリNOWユーザーの間では、この査定技術(機械判定)が適切でないという不満も数多く見受けられました。
・査定価格が著しく低い。
・ビンテージものや限定品など価値の高いものでも、機械判定のメルカリNOWでは査定に反映されない。
・査定してはいけない決まりのものも査定できてしまった。そもそも査定できてしまうシステムに問題があるのではないか。
etc.
サービス開始時、運営側はメルカリの膨大な出品データを元に納得感のある査定額を提示すると発表していました。
ところが、実際は査定額に不満に感じるユーザーが多かったようです。
【考察4】メルカリグループとしてアメリカの事業に集中したいという意図が?
メルカリは「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る」というミッションを掲げています。
メルカリの社長である山田進太郎氏はたびたびアメリカでの事業成功が使命だと言っています。
2014年にアメリカに進出し、ダウンロード数は3,750万(2018年3月31日時点)を突破したと公表しています。ただ、アメリカでの事業展開はまだ成功といえるほどでもないようです。
メルカリ事業以外のサービスを終了させ、アメリカでの成功のため人や資金を集中させたいという意図もあるのかもしれません。
メルカリNOW(メルカリナウ)とはどういうサービスだった?
そもそもメルカリNOWはどういうサービスだったのでしょうか。
メルカリNOWとは、「ノールック買取アプリ」です。
スマホで商品の写真を撮ると機械判定ですぐに査定金額がわかり、商品の現物を見てもらわなくても(ノールックで)即時買い取りをしてもらえるサービスでした。
実際の買い取りまでの流れは以下の通りでした。
1. アプリ上で出品したいもののブランド、カテゴリ、状態などを選び、商品の写真を撮る。
2. 機械判定により数秒で査定額が表示される。
3. 査定額を確認して売りたければアイテムを売るという表示を選ぶ。
4. メルカリアカウント上に買い取り金額が反映する。
5. 買い取りしてもらった商品は2週間以内に集荷してもらう(送料は無料)
その特徴は以下のようなものでした。
・買い取り金額はメルカリでの膨大な取引データを元に査定。
・手数料や商品を送る際の送料は無料。
・買い取った商品はメルカリ上で株式会社ソウゾウが販売する。
そのルールや注意点は以下の通りでした。
・利用できるのは20歳以上。
・査定額の上限が2万円まで。
・メルカリの買い取り上限額は1日1,000万円まで。買い取り上限に達した場合、その日の買い取り終了。
・本人確認として免許証など身分証明のアップロードが必要。
・カメラロールに保存された画像は利用不可。
・偽造品などを出品した場合、売上金を没収し、アカウント停止などの処分がある。
このようなサービスでした。
本家メルカリを忙しくて利用できない方々などに向けた商品売却サービスという見方もできます。
メルカリNOW(メルカリナウ)の利用者の評判・評価はどうだったか?
利用者はメルカリNOWにどのような印象を持っていたのでしょうか。
ネット上(SNSなど)では様々な意見がありました。
メルカリNOWに対する良い意見
・すぐに査定額がでるのがいい。
・思っていたより高い金額で査定してもらった。
・手数料、送料がかからないので手間が少なく便利。
など
メルカリNOWに対する悪い意見
・機械判定による査定額が適切でない。
・査定額が上限2万円なので高額商品には不利。
・買い取ってもらった後で自分が売った商品を検索したらすごく高い金額で売られていて残念だった。
など
商品をすぐに売ることができるのがいいという意見もありましたが、機械判定による査定額に違和感を覚えたユーザーなども多かったようです。
メルカリNOW(メルカリナウ)の運営会社である株式会社ソウゾウのその後
株式会社ソウゾウは、メルカリNOWのサービス終了後、旅行事業への参入を発表しました。
そして2018年11月に旅のストーリー共有アプリmertrip(メルトリップ)を世に送り出しましたが、思ったほどの成果が表れなかったのか2019年1月31日をもってサービス終了しています。
メルカリグループは、メルカリNOWから得られた知見をどのように活かして事業展開していくのでしょうか。今後の展開に注目していきたいです。